ユナイテッドサポ大学生の雑記

マンチェスターユナイテッドを応援する一大学生が試合やチーム情報、ニュース、日々感じたことを気ままに書くブログ。プレミアが好きな彼女がほしい。

ラグビーが好きなウッドワードと、ウッドワードが好きなグレイザー。

小出しにしていくコラム第2弾です。ユナイテッドのフロントについて、ほんの少しお話します。

 

皆様よくよくご存じの通り、近年の移籍市場の動きやリーグ戦での低調ぶりを受けて、マンチェスター・ユナイテッドのオーナーであるグレイザー一家やCEOのエド・ウッドワードの退任を求める声がファンの間で強くなっている。時代の流れを受けてこの潮流は強まり、近年はTwitter上で#GlazersOutや#WoodwardOutといった不名誉なハッシュタグが作られるまでになっている。

 

 

マルコム・グレイザーがユナイテッドを買収したのは2005年、アブラモビッチチェルシーを手に入れた2年後の出来事だった。ニューヨークの貧しいユダヤ系の家庭に生まれた彼は、父の死後継いだ家業を大成させ莫大な財産を築き上げた。ファーガソンと当時の大株主が保有する名馬に関してわちゃわちゃした結果転がってきた株の買収チャンスをつかみ、歴史と伝統を持つクラブにビジネススキルという新しい概念を与え、38億800万ドルの資産価値(Forbes社調べ、2019)を持つまで育て上げた。この功績は間違いなく評価すべきものである。

しかし、彼がファンから毛嫌いされた理由の1つにははユナイテッド買収に当たって特殊な方法を用いたことがある。LBOレバレッジド・バイ・アウト)と呼ばれ、買収した先を担保に資金を借り入れる方法だ。つまり、買収完了時点でクラブは多大な赤字を背負うことになり、利益からそれを返済することになる。彼らがほとんど自分の財布にダメージを与えることなくユナイテッドを手に入れた代わりに、その代償はクラブが背負っていくことになった。いかにもビジネスマンらしい発想だ。現在ユナイテッドが抱える負債は5億ポンド(約690億円)にも上ると言われている。

 

対してエド・ウッドワードは2013年デイヴィッド・ギルの辞任を受けてこのチームに着任した。CEOと銘打ってはいるが、金銭の管理における責任のみならず選手の移籍に関する裁量を大きく与えられている。元会計士というサッカーとはあまり縁のなかった人生を送ってきた彼のためにフットボールディレクターを置くという選択肢がなされないのは明らかに問題があるが、金勘定が好きなもの同士オーナーと気が合うのだろう、一向に内部組織の変革が行われる気配はないまま、幾人もの名将たちが思うような移籍交渉や選手の獲得を果たせないまま夢の跡をかみしめる結果になってしまっている。

 

確かに、選手や監督のクオリティに問題があるという批判は最もである。実際に所属している選手たちがシティやリバプールに行ってスタメンになれるかと言ったら無理だろうし、監督は持っている戦術の幅が田舎町の路地裏くらい狭い。だが、監督や選手を招聘するのはこのチームでは(ここ大事)CEOであり、CEOを雇うのはオーナーだ。ユース世代から結果を出してトップチームで活躍の場を見つける選手の多さに比べて、市場価値よりはるかに高額な移籍金で加入した即戦力となるはずの選手たちの体たらくが目立つのは偶然ではないはずだ。長期間に及ぶこの問題の根源にはこいつらがいるように思えてならない。

 

このコラムを書こうと思ったきっかけは、日本を熱狂の渦に巻き込んだラグビーW杯の決勝戦に参加したイングランド代表目当てに、ウッドワードが日産スタジアムに姿を現したらしいというニュースだ国技のラグビー、しかも自国の選手が出場しているともあれば別に好きに観戦してもらうのは構わないが、大問題なのはその日にリーグ戦が行われていたことだった。激しい雨風の中ボーンマスに敗れたユナイテッドと、南アフリカに敗れたラグビーイングランド代表。二重の敗北を経験してある意味一番不幸だったのはウッドワードだったのかもしれなかったが、彼にとってユナイテッドが負けることは果たして本当に不幸なのだろうか。グレイザー家にとっても彼にとっても、バランスシートやグッズの売り上げの方が試合結果より大事であるかのようにさえ我々ファンからは見える。

 

せっかく日本にウッドワードがいたんだ、見つけて正義の鉄槌、アンパンチの一つでもお見舞いしたかったところだ。

愛と勇気だけが友達の俺と、お金とお金持ちだけが友達のやつが分かりあえるわけがないよね。